書く習慣2日目:今やっている仕事、学んでいること
最近は「作り手としての心の持ち方」を学んでいる。
というのも、私は朝ドラ『あんぱん』の影響で、やなせたかしさんについての本を読んでいる。
やなせさんと言ったら、やはりアンパンマンの生みの親という印象を抱くけど、
その生涯を知っていくと作家としてヒットしたのは結構遅咲きだったそうだ。
天才と呼ばれる漫画家たちの華々しい活躍を見送りながら、それでもなお自分の描きたいものを描き続け、
69歳にして代表作のアンパンマンがアニメ化しヒットしたというのだから、その直向きさはとてつもない。
この間、やなせさんの著書『わたしが正義について語るなら』を読んだ。
各界の著名人がそれぞれにテーマを与えられ、子ども向けに語るというポプラ社のシリーズ本の一つで、
やなせさんはタイトルの通り『正義』について語ってる。
でも私的には、正義よりも「創作者視点での語り」が非常に面白く、
素人ながら漫画や絵を描く人間としては、ハッとさせられる部分が多かった。
中でも感銘を受けた箇所を、少しだけ挙げてみる。
(※↓自分なりにまとめたので原文ママではありません)
・この世界は「虚仮(こけ)の一念」といい、そればかりやっていたら何とかなるものだから、とにかくやり続けること。
・自分流のやり方や作風は、とにかくやりまくらなければ見つからない。
最初はマネから始めていいけど、いつかは自分のやり方を見つけなければならない。
・人生の楽しみの中で最大最高のものは、人を喜ばせること。
全ての芸術・文化は人を喜ばせたいということが原点で、
喜ばせごっこをしながら、さよならだけの寂しげな人生を誤魔化しながら生きている。
・この世は様々な苦しみがあるけど、自分の作品を見ている間だけは、見ている人が全てを忘れて笑っていてほしい。
やなせさんは自分自身を天才ではなく、才能がないなりに描き続けてきたという。
芸術の学校に行ってもトップにはなれなかったし、コンクールもあまり賞を取れなかったそうで、
それでも描く以外のことはできないから、やっぱり描くしかないんだよね、という部分がめちゃくちゃ自分に刺さった。
私は高校で美術部に入っていた。
その部には、絵がとてつもなく上手くって入賞常連な同級生がいた。
またうまいこと審査員の好みを突くような作品を描いて賞を獲る同級生もいた。
対して自分はというと、楽しんで描いているにも関わらず、今一つ賞は取れずにいじけることも多かった。
引退する年に描いた絵で入賞したが、これもお情けだろうと本気で嬉しくは思えなかった。
ある夏の写生大会では、上に挙げた上手い同級生が用事があって表彰式には出られないからと、
何故か私がその人の代わりに賞状を受け取る役になった。その時の虚しさといったら、今思うだけでも胸の奥が重くなる。
賞を取るだけ取っていたあの同級生たちは今どうしているだろう。
そのうちの一人とは今も交流はあるが、上京して結婚し落書きすら描いていない様子だ。
それに対抗するつもりもないが、私はというと飽きもせず描き続けている。
高校当時のように油絵やアクリル絵の具を使っているわけじゃないし、
オリジナルの絵ではなく二次創作がメインではあるが、描くことはやめていない。
ネットで絵を発表することが世間一般化して20年は経ち、自分よりも遥かに若い子が、とてつもなく上手い絵を作り出している。そんな人たちの作品と比べたら技術はないだろうし、商業向けに活動できる自信はない。
それでも自分は見たいものが描けているし、一次創作だってキャラは作っているから描けないことはない。
自分なりの画風や描き方も、うっすらとは掴みつつあるのではないかな?なんて生意気ながら思っている。
ごく稀に、私の作品を見て「癒された」とか「ほっこりした」という感想をいただくことがある。私はそんな言葉をもらう度、描いててよかったなと心の底から思う。
世の中に上手い絵はごまんとあるが、それが人の琴線に触れるかと言われたら絶対そうというわけじゃない。
私は下手なりにも自分の見たいものを描き続けたい。あとできたら、やなせさんのように人が笑ったり明るくなれるような作品を少しでも多く残せたらいいな。
ちなみにアイキャッチの画像は今日行ってきた展覧会のものです。やなせさんの絵本の原画とそれのラフ画が比較するように展示されていて、原画は鮮やかな色使いに癒され、ラフ画は下書き段階から安定していて驚きました。さすがプロって感じで圧巻ものです。
来館者の大半はお子さん連れの方で、作品を見る子どもたちの楽しそうな声が聞こえてきました。
やなせさんはもうこの世にはいないけれど、それでも子どもたちを笑顔にしている。
そう思うと涙目になってしまいました。
絵本以外にも、やなせさんの詩人としての作品も並んでいて、言葉の持つ力強さや優しさをひしひし感じました。些細なことで悩みがちだけど、まあ明日からも生きていこうか、と前向きになれた気がします。
またも長々となってしまいました。ここまで読んでいただきありがとうございます…それでは今日はこの辺で、ほいたらね🖐️